アトピーの正式名称はアトピー性皮膚炎と言い、皮膚の病気です。広い範囲に及ぶ、カサカサと赤みを帯びた湿疹とそれによる痒みが主な症状として有名だと思います。汗を掻いただけでも痒みを感じ、なかなか熟睡できない人もいるそうです。そんなアトピー患っていた男の子が、私の同級生に1人いました。
ここではNくんとしますが、その子も傍から見える全ての肌にその症状が現れていた子で、授業中も部活中もよく我慢できずに掻いていたのを覚えています。時には掻いた所為で血が滲んでいる事すらありましたが、特に隠さず、私の目からはアトピーの症状以外は普通に学生生活を楽しんでいるように見えていました。それにはNくん自身の他人に優しく努力家な性格から、彼を見た目などで虐めようとした人がいなかったお陰もあるのかも知れません。でもNくんにとって、アトピーの症状に対して、簡単には切り離せない心の葛藤があったのかも知れません。小学生の時の作文では12度それが話題として挙がりましたが、どれも自分の現状を悲観的に表しておらず、前向きな内容だったと記憶しています。
しかし、その作文中で今でも1番よく覚えているフレーズが1つだけあります。それは「アトピース。」と文末で締められたNくんが考えた造語です。アトピーとピースサインのピースを繋げたその言葉は、今思えば、周りにと言うよりも自分に対して向けた言葉だったような気がします。恐らくでしかありませんが、Nくんは周りの誰よりもその病気を持つ事で人を羨み、劣等感を覚えていたのかも知れません。だからと言って、彼がそんな言動を起こす事はありませんでした。
でも、そんな自分ではいけないと思い直し、なんとか自分の個性として言い聞かせようとしたような気がします。人は誰でも、コンプレックスを感じた時には自分を卑下し、他人を羨ましく思ってしまうものだと思います。そして、それを払拭させるには自分の気持ちの安定が必要です。だから、まだ小学生の男の子が無意識にしろ、アトピー性皮膚炎を持つ自分を受け入れようとしていた姿に驚き、素直に尊い存在だとも思いました。